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偽物も本物
最初に・・・すいませんかなり長くなってしまいました。
グダグダの文章なのでよほど暇な時にでも読んでみて下さい。byかわ

最近話題の近代建築の保存運動関係の文章を読んだので少し・・・

その中でオーセンティシティ訳せば〈本物であること〉と言う意味の言葉が問題にされていて、また最近の装飾問題なんかとからんで興味深かった。歴史系の研究室の人はよく知っている問題なのだろうけれど。

オーセンティシティは世界遺産の選定などにも利用され、〈形状、意匠〉〈材料、材質〉〈用途、機能〉〈伝統、技能〉〈位置、立地〉〈言語その他の無形文化〉〈精神、感性〉の項目で評価されるらしい。長い歴史の中で存在し続けてきた文化遺産などは、最初の姿から少なくとも何らかの変化を経ているのであるから、このオリジナルの状態との関係性を考える事は重要だろう。とは言うものの、オリジナリティーとか「本物である」ことの基準の曖昧さは明白で、文章の中でもパラーディオのバシリカが改修された事によって評価されている事などをあげている。

それとは別に、たとえそれがつくられた当時の姿であったとしてももともと「偽物」であったものをどう評価するのかという問題もあると思う。

たとえば神聖ローマ帝国時代のロマネスク建築って言うのは、ドイツ人が必死になって東ローマ帝国の様式を真似して、というかある意味装飾的に取り入れて権威付け(カッコつけ)していた。その中にはかなり間違った形で取り入れられた物もあって、中国の遊園地がミッキーに良く似た着ぐるみを使っていたのとあんまり変わんないレベルで偽物と言えるかもしれないんだけれど、現在から見ればそれはそれで“本物”として評価されているのだからなんだかおもしろい。有名なアーヘンの宮廷礼拝堂にしても、美的価値や象徴作用をこえて、皇帝の権力を表すためにコリント式の柱が採用されている。そうなるとこの柱は、ただ装飾的に使われていて、本来の意義を宿した“本物”とは言いがたい。

おそらくここで評価されているのは、「歴史的な背景」と「時間」という側面によってでしかないと考える事が出来る。そうなるとそこに“本物"であることは必要ないのではという気になる。時代を代表するような背景と、歴史的な資料価値によって遺産化されていく。

この違和感は歴史博物館で、出土した土器なんかを見せられた時に感じる物と似ているかもしれない。古いけど何か?という感じである。ある意味〈時間〉は絶対である。

同様に最近近代建築の保存に関してもそれが保存される理由は、いい建築だからでなく「背景」があるかどうかと、時間が経ったかになってしまう。当然近代建築は時代的にはあまり古くなく、その背景が問われる事になる。その背景が評価できるかどうか。
そうなると世の中のものすべてはその存在する背景を持っているのだから、それが遺産として残されるかどうかは、それを残したいという想いを持つ人がいるかいないかという極めて個人的な感情の話になっていくような気もする。Mくま先生みたいな近代建築に相当なオブセッションを持っている人にとっては貴重な背景でも、他人にはそうでない。それはほんとに個人的だ。
だから、変なミッキーまがいのキャラクターでも、その背景をどっかの著名な教授なんかが認めれば遺産になってしまう。

装飾は偽物で、なんていう議論はまず成り立ってこない。偽物もオーセンティシティーを獲得できるのだから。

その物自体が感動的にすばらしかったりすれば重要というふうになれば、問題はないんだろうけど。科学的客観主義がうみだしたひずみなんだろうか。
by shinichi-log | 2008-03-31 01:50
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