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エイジングとロボット - D-labのRCAワークショップから -
KITのD-labとRCAの協同ワークショップ「Healthcare Futures Workshop 思いやりのあるロボットと、人をケアするロボット」の発表会に参加した。

これはテーマにそってロボットという概念そのものの更新、デザインが目指された5日間のワークショップだということが、ジュリアン氏によって紹介され(ジュリアンさんの日本語がとても上手なことに驚きつつ)、日本4チームとRCA2チームによるプレゼンを拝聴する。

5日間という短期間のワークショップにどれだけの成果をもとめるのが妥当かという問題はあるにせよ、少し残念だったというのが正直な印象だろうか。介護ということへの理解の踏み込みと、答えの未消化な部分が目についた。

ざっくりいうと老人向けの新しいロボット(プロダクト)の提案なのだが、基本はセンサリングの技術をベースに、様々な情報を記録する装置、身体的な機能をサポートする装置、そして必要なものをつくり出す装置の提案になっていたのではないか。

RCAの提案が基本的には何か補助的なものをつくり出すロボットであるのに対して、日本チームの提案がほぼ人の感覚や環状に働きかけることを目的としているものであったという比較も興味深い。日本側の提案は有用性よりも、感覚的な豊かさのようなものを認識させることに主眼がおかれている。

気になったのは、そもそも「老いること」や「病気になる」という状態への非常に一義的な解釈がベースになっているのではないかということだった。これらの装置は基本的に老いること=機能の低下→機械的に機能性の向上、という方向性にいっているのだけれど、老いることの豊かさや、一見機能の低下にみえるかもしれないが、もしかしたらそれが何かしらの意味を、それによってひらかれる世界の可能性など、多様な価値観を包含するような提案がみられなかったことは残念である。そういう意味では、現在の介護ロボットとのコンセプトレベルでの差異はあまり感じられないのではないだろうか。

と少しネガティブなことをかいてしまったようにあるが、5日間のワークショップの成果としてどのレベルが妥当化というのは難しいし、またやっと工房スペースが整備されたlabの状況ということも考えないといけない。とはいえ、個人的には興味深い発見もあり、今後の積極的な展開が楽しみである。
by shinichi-log | 2014-12-16 00:16
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