建築の展覧会のもつ役割とは何だろうか?
今回の展覧会の準備を進める中で感じた事は、予算や敷地、その他の社会情勢、クライアントの好みなど様々な条件によって規定される実施プロジェクトでなく、展覧会ではその人の建築的思考を純粋に見せる事が心がけられる。おそらくそこで試みられる事は、普段の建築の中に現れでている何かに違いない。けれども、その成立する条件の違いによって全く見え方が変わっている。思考というある種概念的なものを見せるには、できうる限り現実のノイズが取り払われた状況を用意する必要があるのだ。だから、建築の展覧会で行なわれるべきは、この「0地点」とでもいうべき状況をまず設定することではないか。それは実際の展示空間の整備に始まり、建築家の頭の中から普段設計において必然的に考慮に入れざるを得ない諸条件を取り除く事、そして作品制作においては「0地点」を演出するためのディテールの改良などにおよぶ作業である。そうして、科学の実験室で世界のモデルとなりうる現象や理論が実験によって実証されていくように、展示空間という「0地点」において建築を成り立たすということは、この各建築家の建築的思考=世界モデルの課程を実証する場という事ができるのではないだろうか? 追記 模型において構成要素となるものには縮尺が与えられても、そこに作られる(作り出そうとしている)空間は1/1であらわれるから意味があるんじゃないかな。実際の住宅とかの建物になると1/1なんて言わないのに、展覧会でのインスタレーションなんかになると1/1ってあえて言うのもなんか変。1/1といえども「建物」でない以上それは大きな模型以上の意味合いを持っていないという事なのかな〜。となると、重要になるのは体験の「らしさ」にいかに近づくかということになってくるのか。であれば、別に何分の一の表現でもやりようによっては「らしさ」に近づけるだろうし、となるとやっぱり空間は1/1でしか現れないってことに話しが繋がってくるのか。
by shinichi-log
| 2012-02-29 02:37
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