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村上隆のホンネ!?
「思想地図vol4」の村上隆との対談が予想以上によかった。

前半は、スーパーフラットとか、日本におけるアートの位置だとか、そのなかで村上隆がどのように振る舞ってきたかという話だったのが、後半「ちがうよ!!」という叫びとともにぐっとアクチュアルな内容になっていき生き生きとして来る。

その発言自体は村上隆が新しいフェーズにいかずに引退する可能性もあり得るということに対して東浩紀「また読者サービスの答えになった」と応じた事への返答として発せられているんだけれど、もっと大きくアートの制度をあまり詳しくも知らない論者に対しての批判としても向けられていて、それが結構手厳しい。

でなぜ、引退が戦略上ありうるかというと、アーティストにとって「自分の旬の時代を自分の死後、次の時代に残す」というのも一つの仕事だから。そしてコンセプチャルアーティストは皆しょうもない版画などをビジネスとして成り立たせながら本当に引退していると。確かにこうやってビジネスをする事が、ある使命感として(ホントか嘘か知らないけれど)という考えは聞いた事が無かった。

終盤に「芸術とは何か」という議論があって、そこでも結構いい事言っている。評論家でもある黒瀬氏の作品について、80%感覚的で「20%コンセプチャルにして逃げ切る」というふうに見え、「なんちゃって」作品だと批判した上で、それが「手を急ぐ事」だとし、鑑賞者に対して「性急に出さなくて宵答えを自分に我慢できずに出しているように見える。」と評している。それでは予備校の試験対策の絵でしかないと。じゃあ美術って何なんだというと、「複雑な手を複雑なまま保留して頭の中の思考回路を複雑なままキープしながら、それで必勝という手を見つける」まで思考し続けるものだと。そして大学というところは、海外の作品の見方を教えるのではなく、「本当は複雑なゲームを仕掛ける見方」を教えるべきなんだと言っている。通常、村上隆の話からは金を稼げるようにうまくたち振る舞わないといけないという単純なメッセージだけを捉えがちだけれど、そうじゃないんだと、いかに振る舞うかの問題と美術の本質的な問題が密接に関わっているという事を言っていたのだと改めて認識させられた。

これは、実際制作しているアーティストはぜひ読むべきなんじゃないかと思う。




さらに終盤アートとは何かを巡って結構いい事を言っています。
by shinichi-log | 2009-12-07 00:51 | daily
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