10+1で原稿を書かせてもらった。
建築プロジェクトの「展示方法」について、勉強しながら書きました。空間体験そのものよりもリサーチやプロセス、出来事を重視する建築プロジェクトで、何をどのように「展示」することが可能なのかというお話です。
プロジェクトそのものの記録をいかに詳細に語っても、建築家が知ってほしいことをいくら伝えようとしても十全な伝達は不可能だ。むしろプロジェクトの中で構築されている関係性や政治性を、展示空間に書き込んでおく必要があるんじゃないかという趣旨。ここまで書いてないけど、ただのいい話の紹介じゃダメで、その背後の「何か」の質が結構重要で、それが質であるのなら、空間から感じ取るもの、読み取るものとして展示も成立できるのではって流れ。

http://10plus1.jp/monthly/2015/06/issue-03.php
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# by shinichi-log | 2015-06-09 06:10 | daily | Comments(0)
TREES Work Sessionの感想
先週末、大学の先輩の谷村さんに招待していただき「宮島口まちづくり国際コンペ」(https://miyajimaguchi.jp/)に向けて広島の若手建築家が中心となって進められているTREES Work Session(http://www.trees-hiroshima.com/)に講評者として参加した。街中のビルのガレージという大変オープンな場での素敵なイベントでした。

宮島口については様々な課題がコンペ要項などにまとめて挙げられているが、当日のプレゼンテーションや実際に宮島口を訪れた感想を元に論点を以下のようにまとめてみた。

・まちづくりの主体はだれか?
・宮島と宮島口の役割分担をどう位置づけるか?
・街の新しい骨格はどうあるべきか?

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(写真:TREES Work Sessionのfacebookから転載)

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# by shinichi-log | 2015-06-09 06:05 | Lecture log | Comments(0)
ジャック・ヘルツォーク講演会
2015/3/23に京都工芸繊維大学で行われたジャック・ヘルツォーク氏の講演記録。
録音禁止だったので基本的にその場で文字起こしたものがすべてです。なので確認などとれていません。しかも前半10分ほど抜けていたり、ところどころ内容も曖昧ですが、せっかくなので公開します。
またそもそも翻訳が間違っている可能性もあるので、もし自分が聞いたことと違ったという箇所があればおしらせください。


構造・空間・オーナメントの統合

いまここでスライドに書いてあるもの
カテゴリーそのものは重要ではありませんが、理解を深めるために行っています。
左側にはビルディングタイプ、右側に3つの言葉(Structure/Space/Ornament)

Structure / Space / Ornament(=単なる装飾ということでなく空間全体の表現)

これら同時に連結しながら存在することが重要だと考えている。
建築を作るための道具なのです。

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# by shinichi-log | 2015-03-27 16:21 | Lecture log | Comments(0)
大見新村で「クラウドファンディング」しています!
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開始してから少し時間が経ってしまいましたが・・・。京都市内の廃村を新しい村として復活させようと3年前から取り組んでいる「大見新村プロジェクト」内の、古民家を改修して村の新しい拠点をつくる取り組みがクラウドファンディングをスタートさせました。(ご協力お願いします。。。)

https://readyfor.jp/projects/oomishinson

この改修は、リーダーの藤井さんが住んでいる古民家の使っていない(痛みがはげしくて使えなかった)2部屋を新たな拠点として整備しようというものです。これまでも村の可能性を探るためにいろいろな取り組みを行なってきたけれど、屋内の活動拠点が8畳ほどの小屋のみという状況でいろいろ不便なこともあり、新たな拠点をということで始めたものです。

この部屋は村の入り口付近にあるため、ここを活用することは単なる活動場所の面積が増える以上に、元村民の方や村を訪れる人との交流の拠点となることが期待できます。で、ようはクラウドファンディングご協力いただければと思っているのですが、今回のクラウドファンディングは拠点整備の中心メンバーでもある北さんが主に発案、運営をおこなってくれています。

北さんは、僕と同い年の建築が専門の研究者。RADを初めてわりとすぐに知り合い、それ以来交流が続いている。一昨年僕がうらやむ博士号取得し、今は京大の先生。そんな北さんも、修士卒業後は渋谷に本社のあったディベロッパーで働いていた過去も、、、それが今は京都の廃村の古民家の改修費用集めに奔走している、というのもなんだかおかしなものだ。大見新村プロジェクトにも初期から関わってくれており、今ではいろいろな意味でいなくてはならない存在で、台風の際には命がけで大見に滞在してくれたり、いろいろ武勇伝を残しつつある。クラウドファンドのページにはマメな北さんらしい細やかなテキストが綴られています。ちょっと文章多いですけど笑。

さて、ちょっとあらためて・・・。大見新村は、京都市内から車で約一時間。僕自身はここに住むことを今は考えていない。この村を存続させたいと願うリーダーの藤井さんの想いを、どうすれば実現できるのだろうかと考えることが自分の役割だと思っている。それは、別に里山環境大好きとか、かわいそうとかそういうものだけではなくて、正直このご時世に村を新しく復活させるということが、ちょっと自分的に未知で、とてもわくわくできるということなんだと思う。それに車で一時間の距離に気軽に楽しめる里山の環境があるというのは、街に暮らしている側にとってもとても大きな魅力ではないかとも。

だんだん脱線してきてしまったけれど、ちょっと停滞気味で不安をおぼえる残り40日のクラウドファンディング。完成の際は支援者のみなさんと一緒に、成功を記念する新しい村のお祭りをひらき、一緒に喜びを分かち合いたいなーと思います(勝手に書いてる、でもしたい)。

特にこれまで大見に来ていただいた方々、何卒ご支援のほどよろしくお願いします。
https://readyfor.jp/projects/oomishinson
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# by shinichi-log | 2015-02-18 21:01 | daily | Comments(0)
3連ちゃん
少しあたたかな一日。

午後から立て続けに、成績会議 - 名古屋からのヒアリング - Still Moving企画打ち合わせの会議3連ちゃん後の、まさかの3日連続の王将へ。机に向かってだれとも話さない一日があるなかで、話しっぱなし。とはいえどれも、結構つっこんだ打ち合わせができ、いろいろなもやもやが大分晴れてきた。自分でも気がついていなかった微細な意識の動きを感じさせてくれるメンバーでの打ち合わせはとても有意義なもので、一気に前進する感じよい。
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# by shinichi-log | 2015-02-08 03:11 | Comments(0)
非対称な世界を繋ぐもの-山城大督「HUMAN EMOTIONS」(雑感)
山城大督の京都で初の個展「HUMAN EMOTIONS」が今日からArtzoneにて開催されている。山城君は、Nadegata Instant Partyというアートプロジェクトで活動していたり、蓮沼執太のPVをつくっていたりする↓映像作家。

5年前、京都芸術センターで開かれた展覧会の打ち上げで出会い、同い年だったということもあって、なんとなく知り合いになったのがきっかけで、その後インタビューをさせてもらったり、かぼそい繋がりかもしれないが、その活動に大変共感を寄せているアーティストの一人だといえる。

複数台のカメラを使って撮影された子どもたちのつくりだす状況を、その同じ場所で、複数のモニターに囲まれながら鑑賞する。画面に流れる映像は、今ここにいる場所で起った出来事で、今ここで自分は体験しているが、しかしそれらがパラレルに存在していることで、すべてはここではないどこかを強く感じさせるような体験を突きつけられる。

また、子どもという透明な存在が意識されればされるほど、その背後の環境が顕在化し、行為の主体と環境(そこには大人も含む)の非対称性が強く現れてくるようだ。この「非対称性」こそ世界のあらゆる衝突を生み出し、また同時に愛情(親が子を想うような)をつくりだす根源だと考えるとどうなるだろうか。山城くんが所属するNadegata Instant Partyのプロジェクトにも実はこの非対称性がとても強く意識されている。けれどもその構図の中において、無意識の内にそうした非対称な関係がうちくずされ混ざり合うような場面が生み出されている。徹底的な虚構をつくり出す先に、それでもなおその虚構をやぶるような瞬間を生み出す一体感は何によって生まれるのか。まあ、単純にその答えがEMOTIONだっていうのは少しはばかられるが、自我という反省的な視点(これもすでに自分の内部での非対称性)をもたない子どもの振る舞いを通じて、こうした問題について考えさせてくれる。

さきにも触れたが、(たしか)8つのスクリーンとそれをみる自分という9つ目のスクリーンによって体験されるその場所という経験自体も大変興味深かった。
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# by shinichi-log | 2015-02-07 01:59 | daily | Comments(0)
生活工芸とオリーブの時代
増田寛也編著の「地方消滅」がおもいのほか早く読み終わったので、さらなる移動時間の暇つぶしのために酒井順子「オリーブの罠」という新書を購入。本年度から精華大学のファッションコースの演習で非常勤していることもあり一応の知識を得ておこうということで。著者は高校2年生から同雑誌に寄稿していたエッセイストで、1982年に平凡社によって創刊された雑誌「オリーブ」についてその時代背景とそのメッセージを記している。これが意外と明日の鞍田崇さんのトークイベント「生活工芸の時代と大見新村」について考えるうえでよいきっかけに。(以下かなり強引です。)
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# by shinichi-log | 2015-01-17 01:05 | daily | Comments(0)
廃村サミット
廃村のことを調べていると絶対外せないのが heyanekoさんのサイト。
全国47都道府県の廃村を踏破されているつわもので、冬の大見にも百井からたぶん徒歩で訪問済み。

そんなheyanekoさんの情報によると長野にもと廃村に新規移住者で復活を遂げようと言う村があるらしい。
http://heyaneko.web.fc2.com/gh18.html

また調べていると何カ所か廃村を活動の場にしている方がいる。
廃村サミットも実は夢ではないのかもしれない。

あと廃村情報ならこちらのサイトも。廃墟等の情報も充実。
http://haikyo.crap.jp/
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# by shinichi-log | 2014-12-17 19:25 | Comments(0)
エイジングとロボット - D-labのRCAワークショップから -
KITのD-labとRCAの協同ワークショップ「Healthcare Futures Workshop 思いやりのあるロボットと、人をケアするロボット」の発表会に参加した。

これはテーマにそってロボットという概念そのものの更新、デザインが目指された5日間のワークショップだということが、ジュリアン氏によって紹介され(ジュリアンさんの日本語がとても上手なことに驚きつつ)、日本4チームとRCA2チームによるプレゼンを拝聴する。

5日間という短期間のワークショップにどれだけの成果をもとめるのが妥当かという問題はあるにせよ、少し残念だったというのが正直な印象だろうか。介護ということへの理解の踏み込みと、答えの未消化な部分が目についた。

ざっくりいうと老人向けの新しいロボット(プロダクト)の提案なのだが、基本はセンサリングの技術をベースに、様々な情報を記録する装置、身体的な機能をサポートする装置、そして必要なものをつくり出す装置の提案になっていたのではないか。

RCAの提案が基本的には何か補助的なものをつくり出すロボットであるのに対して、日本チームの提案がほぼ人の感覚や環状に働きかけることを目的としているものであったという比較も興味深い。日本側の提案は有用性よりも、感覚的な豊かさのようなものを認識させることに主眼がおかれている。

気になったのは、そもそも「老いること」や「病気になる」という状態への非常に一義的な解釈がベースになっているのではないかということだった。これらの装置は基本的に老いること=機能の低下→機械的に機能性の向上、という方向性にいっているのだけれど、老いることの豊かさや、一見機能の低下にみえるかもしれないが、もしかしたらそれが何かしらの意味を、それによってひらかれる世界の可能性など、多様な価値観を包含するような提案がみられなかったことは残念である。そういう意味では、現在の介護ロボットとのコンセプトレベルでの差異はあまり感じられないのではないだろうか。

と少しネガティブなことをかいてしまったようにあるが、5日間のワークショップの成果としてどのレベルが妥当化というのは難しいし、またやっと工房スペースが整備されたlabの状況ということも考えないといけない。とはいえ、個人的には興味深い発見もあり、今後の積極的な展開が楽しみである。
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# by shinichi-log | 2014-12-16 00:16 | Comments(0)
「都市と大地」シンポジウム
建築学会都市史小委員会のシンポジウムが大学を会場に開催されていた。
『都市史の基層として大地・地面・土地を考える』という意欲的なテーマが掲げられ、建築や都市の歴史だけでなく、歴史地理や環境考古学の知見が導入されることで新たな都市史の展開を見据えていこうというものであった。

あくまで個人的に興味深かったトピックだけ備忘録として書き出し。
(河角氏発表より)
・地理学の時間のスケールの中で平野ということに絞ると1000年ほどの単位で観察できる
・数百年スパンで見ても地面というのは一定ではなく頻繁に変化を繰り返している
 - 場所によっては平安京時代と現在では3mほどの高低差があり、等高線も変化している。
・そうした地形形成も単純なレイヤーとしてではなく、堆積-安定-浸食といったサイクルとして認識する(15,16世紀に洪水が頻繁に起っている)。
・大地といえどもそれは河川による堆積によって生み出されていること、今の大地がどの河川の堆積物によってできているか
・市街地の発展は水の利用とも関係しており、それが扇状地で開発が進む理由でもある。
・必ずしも一様に地形変化が起るわけではなく、また安定不安定が変化する。災害のリスク等は微地形レベルでみていく必要がある
・GISなどの情報と発掘調査などの連携の可能性
(樋渡氏発表より)
・ベネチアをテッラフェルマの流域的に把握することで、海洋貿易都市の基盤がみえてくる
・筏流しの文化を含む、様々な流域ネットワークが、下流のベネチアを支えていた。
・イタリアの筏流しにも組合がありリレー形式で下流まで木材を運んでいた。
・大地の問題を水の空間軸でみていくことの重要性
(福村氏発表より)
・イタリアの都市計画の中で展開してきた「環境(アンビエント)」「風景(パッサージュ)」「領域(テリトリー)」概念の変遷と現在的利用
・戦後期の科学的都市計画の模索における社会経済学的手法の導入
・歴史や都市の資料の有無の重要性。異なる視点で土地史料を読み直すことの意義。

最後のコメントで青井先生がおっしゃっていたように、このような地理的で広域のネットワークとして都市を捉える議論の可能性を感じつつ、ますます建築そのものが視野から消えていくことへの懸念はどのようにとらえればよいのだろうか。世界を構造的に把握することが建築の本義であるならば、建物を建てるという行為は、その現実的なモデルとして構造的な把握のための訓練であり、なおかつそれを身体化しつつ、思考を生み出していく行為として位置づけられねばならないのだろうか。
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# by shinichi-log | 2014-12-12 18:48 | Comments(0)
upcycling - つくりかけとしてのマスプロダクト -
KITのデザインラボ主催のとあるレクチャーのテーマ「UPCYCLING」だった。英語のwikipediaによると"the process of converting waste materials or useless products into new materials or products of better quality or for better environmental value"とあって、より価値の高いものへと作り替えていく行為のことをさすらしい。ブリコラージュ的な思考をベースにしてつくられたデザイン用語なのだろうか。

紹介されていたのは、カンパーナ兄弟のチープなマテリアルを使った家具のシリーズだったりする。ローテックで既存の価値を転換するようなことが推奨されるわけだが、一方でこのローテックがはいることでカンパーナ兄弟の家具はとても高価なものに変換される(もちろんそれだけの理由によって価格が決められているわけではないが)。製造においてローテック=手仕事がかならずしも安価で優れていると言えなくなったのが近代以降のマスプロダクションの世界だと考えると、ここで紹介されているUPCYSLINGの意義はデザイナーによるプロダクトの制作手法ではなく、よりユーザーにとっての技術であると考えた方がよさそうである。
そう考えると、質問として、ローテックなものづくりがマスプロダクションの世界で生き残れるのかというものがあったが、これへの答えはそもそもマスプロダクションとこのローテックなものづくりを同列に扱ってはいけないということになるだろうか。つまりマスプロダクションのあふれる世界の中で、使い手が自らの使用価値をそれにたいして見いだしながら独自にカスタマイズしていくことが重要で、手仕事産業を動向という話しとは少し違う。

マスプロダクションが第2の自然のように身の回りに反乱しているからこそ、それを素材として日常生活の中で個々人がクリエイションをおこなっていく。マスプロダクトを単なる完成品ではなく、カスタマイズ可能な標準モデル、つくりかけの状態としてみなしてこそ、そこにたいしてのUPCYCLINGなアプローチがますます重要になるのではないだろうか。
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# by shinichi-log | 2014-12-10 18:23 | Comments(0)
フィリップとせせり
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昨晩はCOLLECTIVE STUDIES主催でブラジル人でUrbanouvou主宰のフィリップ・バレストラ氏の公開勉強会を開催(http://collectivenessinarchitecture.tumblr.com/post/98469462204/10-2-filipe-balestra-bringing-dreams-to)。告知も急だったこともありとても少人数ではあったが、付き添いで403の辻君も参加し、とてもリラックスした楽しい会となった。フィリップのプロジェクトでは、住民たちが暮らしの中で築いてきたインフォーマルな空間特性を維持しつつ、それをオフィシャルなものに置き換えていくための建築的実践が試みられている。それはまったく異なる力学によるものなので、不可能に近いことなのだが、その中でもプロトタイプを提示することの重要性が示されていたように思う。

その後、mediashopの斉藤さんにご案内いただき梅林さんと合流し打ち上げ。またその後辻君からのリクエストで久方ぶりのせせりに。インフォーマルな屋台というシチュエーションにフィリップもとても喜んでくれていた様子。

プレゼンテーションやその後の会話の中で印象的だったのは、プロジェクトを誰かに伝える時に誰を主体としてそのストーリーを語るのかということだ。フィリップのプレゼンで最初のスライドにはある女性の印象的なポートレートが映し出される。主体として建築家がではなく、その場所の住人や関係者が主体となってプロジェクトの経過が語られていく。これまでは行為主体として自分たちを考えていたが、誰によってプロジェクトが語られるのかを意識することで伝わり方の変化もある。そういうことも含め問題意識を共有することができたのではないかと感じている。
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# by shinichi-log | 2014-10-04 01:36 | Comments(0)
アーカイブ研究会
美術工芸資料館による平芳先生のアーカイブにかんするレクチャーを拝聴する。知っているようで知らなかった美術工芸資料館のなりたちや、Museum&Archivesという名称の由来などあらためて知るよい機会になった。

本題のアーカイブの問題については、おもに美術の「価値」の変化からアーカイブの重要性が現在どのように生起しているのかという話が展開されていたようにおもわれる。それは自律的な美的価値が成立しないという状況の中で、アーカイブによって記憶の場をつくり出すこと、リソースとしてマネジメントしていくこと、文脈をつくり出していくことが求められていく。また、時代のアクチュアリティによって必要な記憶が呼び出されうることもありうる。

最後に、デュシャンのレディ・メイドでそもそも美術的価値を文脈においていたことや、グリーンボックスで制作過程のメモ等がおさめられアーカイブとしてすでに提示されているという先進性という平芳先生の専門へとひきつけた話が紹介された。
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# by shinichi-log | 2014-10-02 14:36 | daily | Comments(0)
DESIGN EAST CAMP in ARITAへ
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DESIGN EAST CAMP in ARITAに参加するため、関空から福岡、さらにひょんなことから目的地を通り越し長崎の佐世保を経由して(これはまた別のお話で)、今回の目的地やきものの町「有田」へ。メインプログラムは有田町の上有田地区を中心に5つのチーム「A」「R」「I」「T」「a」にわかれて行われるフィールドワークと、その後のディスカッションとなっておりコンパクトながら密度の高いCAMPとなった。

フィールドワークの起点となったのは、磁器の原料となる石を採掘していた「石場(泉山磁石場)」(現在砕石は止まっているが、将来的には再稼働する可能性もあり、一部を除いて史跡としての指定を受けていない)。そこで有田焼の発展の歴史を伺う。有田は400年前に朝鮮からつれてこられた陶工李参平という人物が、それまで日本では発見されていなかった磁器の原料を発見したところから始まる。有田はまさに日本の磁器誕生の地だ。江戸時代は佐賀藩鍋島家によって保護され、国内外との交易品として重宝され発展していったという。この石場を起点に、深い谷に沿って集落が形成されており、石場に近い上のエリアが内山地区と呼ばれ「有田千軒」と呼ばれる街並や、登り窯の壁や、窯道具の廃材を利用した「どんばい塀」が残り伝建地区にも指定されている。GWに開かれる陶器市には100万人が押し掛ける一大イベントになっている。そのような歴史的な資源が残っている一方で、現代的な暮らしにはなじまず、駐車場が無いなどの理由で若い世代は有田駅に近い西有田地区に家を持つ傾向が強く地区は高齢化がすすみ、空家がちらほらと目にはいってくる。また、これまでは主に卸を行ってきた問屋も、最盛期の六分の一しか売上げがないという現実に直面し、観光客への小売りを行うようになってきている。などの理由から内山地区では観光という観点からの街づくりが目指されている。そう感じた。今回のDEのフィールドワークや議論の前提にはこうした観光地としての魅力をどう見いだすかという事があったようだが、その実ほんとうに観光地化することが必要なのかという事も含めた議論が生まれていたように思われる。

先に有田はやきものの町と書いたが、それが意味するところについては再考する必要があると感じた。つまり産業としての「やきもの」というモノが主役になるのではなく、「やきもの」という産業によって形成された暮らしそのものが主役になる必要があるのではないだろうか。やきものを商品ではなく文化として捉える視点がまちづくりという上で欠かせないものになっている。それはデザインという方法でもってこの町に介入する時の作法がいかにあるべきかを問うことにも繋がっている。

そうすると実は観光のためにせっせとハコやコトをつくるよりも、産業としてのやきものを持続的に成り立たせる仕組みと暮らしをつくっていくことが結果的にまちの魅力に繋がっていく。順序としては、産業としての有田焼がより魅力を増し持続的な展望をえることによって、結果街の人がより豊かな生活を送るようになり、その生活の豊かさや文化に触れるために観光を目的とした人々が訪れる、ということだろう。

ここでデザイナーの役割は、産業をもり立てる役割(柳原さんが関わっている1616というのはまさにこっち)と同時に、それが持続的に続いていくための豊かさまでを描き出し、その実現をアシストするような役割になる。これまでデザイナーは主に産業(建設なども含む)というフレームの中でのみその役割を与えられていたわけだが、現在ではそれがシフトし、まちづくりや福祉、教育などといった異なるフレームを跨ぎつつ、その場所の文化を温めなおすような存在になりつつある。

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表通り
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裏通り

また今回のワークショップでは、観光用に整備された表通りよりも、暮らしの痕跡が色濃く残る裏通りや、人々が日常的に接している「ハマ」といった存在へ関心があつまっていたが、それは単に産業と観光、コンテンツとコンテナ(器)といった問いの建て方ではなく、町の持つ空間認識の構造を読み替えるという視点に繋がったことが大変興味深かった。つまりこれまでの谷に沿った町のリニアな構造が重視されてきたが、谷につくられているという地形的特性を生かし、断面方向の空間を意識することで、振り子のような運動を生み出すことが町のポテンシャルを再定義していくのではないかという点だ。空間認識の更新という建築的な眼差しの可能性を実感として感じる機会になった。
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# by shinichi-log | 2014-09-24 13:25 | daily | Comments(0)
今年の吉岡賞
住宅特集で今年の吉岡賞一次審査の結果が掲載されていたが、それが結構おもしろい。二次審査選考候補は、以下5名。能作文徳さん「STEEL HOUSE」、藤村龍至さん「家の家」、成瀬・猪熊「LT城西」、403architecturedajiba「富塚の天井」、そして堀尾浩さん「当麻の家」。

まさか403の「富塚の天井」が、というところだけど、はてさてこの天井メインの改修物件がどのような歴史をつくっていくのだろうか。審査の中でも作品としての「強さ」が足りないという指摘がされているが、それでも選ばれているのは「富塚の天井」だけではなく、その背後に見え隠れする浜松でのマテリアルをキーワードとした彼らの活動の総体が無視できないということか。もちろん吉岡賞は、すぐれた住宅作品に与えられる賞なので、そうした広域的なネットワークが評価の対象になるのか難しいところではあるだろうが、「新しい人びと」の登上が指摘されるのであれば、そのような住宅をなりたたせる都市との関わり方全体が問われることを期待したい。ちょうど8月号の新建築で連くんが「ここでいう「住居」とは「住宅」のみを指すわけではなく、都市に暮らすためのあらゆる「手段」と考えたい」と述べているように、住宅を空間性の問題からひとまず開放することが現代のボザール病から抜け出せるひとつの方途ではないだろうか。

その他にも、能作さんと藤村さんという対照的なアプローチをとる塚本研OBの比較や、シェアという現在的な生き方とそこにどのような新しい批評性が開けているのか、にたいしての比較的オーソドックスな密度の高い小住宅がどう対抗軸を引けるかなど、結果の発表が待ち通しい今年の吉岡賞である。
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# by shinichi-log | 2014-08-21 16:36 | daily | Comments(0)



日々の何かについて、建築・デザインなど
by shinichi-log
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