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今年の吉岡賞
住宅特集で今年の吉岡賞一次審査の結果が掲載されていたが、それが結構おもしろい。二次審査選考候補は、以下5名。能作文徳さん「STEEL HOUSE」、藤村龍至さん「家の家」、成瀬・猪熊「LT城西」、403architecturedajiba「富塚の天井」、そして堀尾浩さん「当麻の家」。

まさか403の「富塚の天井」が、というところだけど、はてさてこの天井メインの改修物件がどのような歴史をつくっていくのだろうか。審査の中でも作品としての「強さ」が足りないという指摘がされているが、それでも選ばれているのは「富塚の天井」だけではなく、その背後に見え隠れする浜松でのマテリアルをキーワードとした彼らの活動の総体が無視できないということか。もちろん吉岡賞は、すぐれた住宅作品に与えられる賞なので、そうした広域的なネットワークが評価の対象になるのか難しいところではあるだろうが、「新しい人びと」の登上が指摘されるのであれば、そのような住宅をなりたたせる都市との関わり方全体が問われることを期待したい。ちょうど8月号の新建築で連くんが「ここでいう「住居」とは「住宅」のみを指すわけではなく、都市に暮らすためのあらゆる「手段」と考えたい」と述べているように、住宅を空間性の問題からひとまず開放することが現代のボザール病から抜け出せるひとつの方途ではないだろうか。

その他にも、能作さんと藤村さんという対照的なアプローチをとる塚本研OBの比較や、シェアという現在的な生き方とそこにどのような新しい批評性が開けているのか、にたいしての比較的オーソドックスな密度の高い小住宅がどう対抗軸を引けるかなど、結果の発表が待ち通しい今年の吉岡賞である。
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by shinichi-log | 2014-08-21 16:36 | daily | Comments(0)
CS_創造都市論についての覚え書き
毎月一度おこなっているコレクティブ・スタディーズにおいて、メンバーの森村氏から創造都市論についての発表と議論をおこなった。森村氏は日本における創造都市論の第一人者でもある大阪市立大学の佐々木雅幸氏の研究室の出身である。ビルバオやバルセロナなどの成功事例の紹介と共に語られることの多い創造都市ではあるが、その定義が様々な内容を包括しているがゆえに曖昧模糊としていることや、創造都市をどのように計画していけるかといった実践論にかけ、どこか成功事例の紹介と仮設にとどまっている感はいなめないというのが創造都市について一度考えてみたいという動機であり、また仮に創造性というものが市民の主体性によるのであればそこには都市におけるコレクティブネスが発露すると思われたからである。ちなみに佐々木氏によると「創造都市」とは「市民の創造活動の自由の発揮に基づいて、文化と産業における創造性に富み、同時に、脱大量生産の革新的で柔軟な都市経済システムを備え、グローバルな環境問題や、ローカルな地域社会への課題に対して、創造的問題解決を行なえるような『創造の場』に富んだ都市である」とされている。


以下勉強会の中で確認されたことと議論されたことをまとめる
・創造の場のマネジメントが重要とされている。

・グローバルシティというのが金融市場と結びついた大都市をベースにし都市論であるのに対し、創造都市論はスケールに関係なく文化的な多様性のネットワークである。ユネスコの創造都市ネットワーク。
・創造都市論というのは、創造経済(文化経済)なる概念をその基としている。つまり貨幣経済だけでなく、知的生産や文化的な活動の価値を取り入れた経済を考える。行政評価を経済性だけでない、創造性という軸を提唱する。
・これまで国交省系の政策によって実現されてきたまちづくりにたいして、文化政策としてまちづくりを位置づけるために(発明された)概念である。
→まちづくりにおいて、行政の縦割の壁をこえていくうえで様々な分野の政策課題として都市問題を捉えなおすことが重要になってくる。福祉(厚生労働省)と都市をあつかう平井
・佐々木氏によると創造都市の6つの条件は以下のように整理されている。
1芸術家や科学者の自由な創造活動の展開と、労働者のフレキシブルな生産の展開によって、自己革新能力に富んだ都市経済システムを備える
2創造性をささえる文化施設や、創造的仕事を支援する非営利セクターなどが、創造支援インフラとして機能する
3充実した社会サービスの提供により、生産と消費のバランスのとれた発展をしている
4都市景観の美しさを備えている
5行政に対する住民参加のシステムを備えている
6財政自主権と政策形成能力の高い自治体職員を擁する
→これらの条件は納得するところではあるが、包括的でありすぎるためにどのような都市でもある程度は言えるし、逆にすべての条件が完璧なところは存在しない。むしろこれらを指標として都市の分析と比較を行なうことは、その包括性ゆえに意味があるように思われるが、これらの条件を指標とするために必要な分析手法はここでは提示されておらず、全体的に印象論もしくは成功事例から導きだされた仮説にとどまっている。今後はこれらの仮説のの検証と各条件を指標化する手法の開発が求められるのではないだろうか。
・創造の場と呼ばれるものにどのようにアプローチしていくのかという方法論においても今後研究が期待される。

創造都市論なるものがどれだけの歴史的な強度をもった概念なのかは分からないが、現代都市に求められている特質が整理して提示されているということは押さえておきたい。
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by shinichi-log | 2014-08-10 01:21 | Comments(0)



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