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チェルフィッチュ「地面と床」
KYOTO EXPERIMENTが今年も始まった。2年前、第一回のKEXにて快快やネジピジンさんなどに出会い、以来とても楽しみにしている京都のイベント。初日さっそくチェルフィッチュの「地面と床」を見に行く。先々月に大阪で「女優の魂」、昨年は福岡で「現在地」とみてきたが、今回の作品は近年岡田さんが試みてきた様々なことがある形となって、それもとんでもないものとして、結実しているように思えた。

現代的な能とでも言うべき音楽と演劇の融合は、「未だ生まれ来ぬもの」を思う母と「すでにその生を過ぎてしまったもの」としての母、「権利」と「義務」、賢者と愚者のコントラストを突きつけながらも、舞台上の「表現」によって解体され、しまいに判別が難しくなってしまう。

その表現、つまり内容ではなく形式についてである。形式と内容は連動して展開していくものだ。メッセージを伝えるにはふさわしい伝達方法が必要になる。内容は、時にクリシェと化してしまうが、その作用を異化させ、どこか別の次元へと導くのが「表現」であり、芸術のなせることの一つではなかろうか。本作はその表現の秀逸さにおいても特筆すべきクオリティを描き出している。

舞台には一枚の大きな床。各場でプロットは設定されているが、そこでの演者は、会話を交わしつつも、向き合うこと無く、それぞれの与えられた軌道上で別々の振る舞いを行なっている。その振る舞いはほとんど話しの内容と関係なかったり、なぜその動きなのか理解は出来ない。徹底的に意味を発生させることが拒絶されているように思えるし、同時に舞台全体にも安定した空間は現れず、分裂した個別的な空間が拮抗しながら、しかし美しく存在している。おそらく舞台設定という意味ではなく、意味は解体されただ「表現」のみが追求されているのではないだろうか?とはいえそれは、ナンセンスであるわけではなく、緻密にその演者同士のインターフェースがデザインされているがゆえに出現しているはずである。全体としてのプロットは共有しつつも、ベタな関係性を生み出さず、それぞれが無関係に振る舞いながらも、ある全体をなす。というのは、先に述べたこの作品が内容としてもっているメッセージそのものとも解釈できるのではないだろうか。

ともかく、これは傑作だと思った。
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by shinichi-log | 2013-09-30 11:54 | review | Comments(0)
fablabと関連イベント情報
昨日Fablab北加賀屋の見学に行ってきた。
思っていたより小さなスペースで、しかしながらそれでも成立するということに驚きを感じた。
単に3Dプリンターの普及などの技術的な要因によってもりあがっているという以上に、人々のものにたいする考え方、消費よりもつくり出すことに豊かさを見いだす文化の台頭ということがまずあり、そこにそうした技術革新とその普及ということが相乗的におこっているということなんだろう。今後Fablabが地域のリソースと上手く結びついていくことが、展開は発展性において重要になってくるというのが感想。

それで、関連するトピックを扱っている面白そうな展覧会とイベントを少し紹介。

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ひとつめはウィーンの装飾美術館で行なわれている「NOMADIC FURNITURE 3.0」という展覧会。ビクター・パパネックの著書「NOMADIC FURNITURE」から名付けられたこの展覧会は、「特に住居空間や家具のデザインに関して偏在しているDIYムーブメントの現在の展開を集め、検討する」ことを目的とした展覧会。

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もう一つは「Hand-Eye Supply's Pop-up Institute for Craft and Ingenuity」というロサンゼルスの「Space 15 twenty」においてポップアップショップと教育的なイベントを行なうという一ヶ月の企画。メーカーコミュニティのみならずそれとパブリックをどう繋げるのかを考えている。全体的な雰囲気がとてもよさそう。


それぞれaboutを簡単に勝手に翻訳したので載せておきます。

NOMADIC FURNITURE 3.0
http://www.mak.at/en/program/event?article_id=1350932543268

One would be hard-pressed to find a single area of our everyday lives and material culture that has not been swept up in the “participatory revolution” of the past several years. With the do-it-yourself movement now an omnipresent phenomenon, the design field’s current development is increasingly characterized by the fusion of production and consumption. The problematic issues raised by this “prosumer culture” range from a perceived need to decentralize and democratize goods production to both the criticism of mass consumption and the theme of sustainability in light of ongoing resource depletion.

ここ数年の「参加型革命」の中で取りこぼされている物質文化と日々の生活の共通の領域を見いだすことにやっきになっている。現在、あちらこちらに現れているDIYムーブメントにともなって、デザイン領域における発展は今日、ますます生産と消費の融合ということによって特徴づけられている。この「prosumer culture」によって浮かび上がるイシューは、製品生産の民主化と分散化が必要だという認識から、マス消費批判と進行する資源枯渇への認識による持続可能性というテーマにまでおよんでいる。

But the do-it-yourself phenomenon also refers both to the rediscovery of handwork and to involvement in the design process in ways that address the senses: the motto “have more, own less” would seem to imply a paradigm shift here, particularly in view of a lifestyle that is liberated from dictates of consumption, dogmas of taste, and norms of design. The exhibition NOMADIC FURNITURE 3.0 will for the first time bundle and examine the omnipresent do-it-yourself movement’s contemporary development with specific regard to the design of furniture and residential spaces. Here, the prolonged constant increase in demand for plans showing how to build furniture and furnishing elements represents an opportunity to investigate present-day processes by way of a historical retrospective: Where do the origins of such processes lie? Through which channels and media are experience and instructions for use passed on? Who engages in exchange with whom, and on what terms?

しかしDIY現象は、ハンドワークの再発見と、感覚を伝えるデザインプロセスに関わることに言及している。つまり「多く持ち、少なく所有する」というモットーはここでのパラダイムシフトを示唆しているように思う。特にデザインの規範、趣味の戒律、消費への押しつけから自由になるようなライフスタイルという観点において。「NOMADIC FURNITURE 3.0」は、特に住居空間や家具のデザインに関して偏在しているDIYムーブメントの現在の展開を集め、検討する始めての機会となる。ここでは、どのように家具や備え付けの要素を作るかを明らかにして欲しいという要求の継続的な増加は、歴史的回顧という手段によって現在のプロセスを調査する機会を提示する。そのようなプロセスの起源はどこにあるのか。どのようなチャンネルとメディを通じて、使用経験と取り扱い説明を与えられるのか。誰が、誰と何の交換に関わっているのか、など。

When evaluating contemporary DIY strategies, their historical development can be a particularly helpful context within which to do so. For in today’s era of digital modernity, this design phenomenon continues to encompass a field situated between the two poles of mainstream and alternative culture. Even if the cheaply printed handbooks of yore have been largely replaced by Web 2.0’s forums and blogs as the creative interface, it is virtually impossible to distinguish between self-affirmative fads and subversive criticism of consumption: these are two mutually contingent aspects of design and consumer culture.

現代のDIYの戦略を見積もる時に、それらの歴史的な発展は特に役に立つ文脈となる。今日のデジタル化において、デザイン現象は、メインストリームとオルタナティブカルチャーの二極の間に位置するフィールドに存在している。クリエイティブなインターフェースとして、過去のチープな印刷によるハンドブックがweb2,0のフォーラムやブログ置き換わったとしても、自己のデザインの肯定と破壊的な消費への批判の差異を見分けることは事実上不可能だ。これは消費文化とデザインの相互に依存的な側面なのだ。

Hand-Eye Supply's Pop-up Institute for Craft and Ingenuity
http://handeye.la/

「Hand-Eye Supply's Pop-up Institute for Craft and Ingenuity」は、ロサンゼルスの「Space 15 twenty」において行なわれる一ヶ月のプップアップショップと教育的イベントです。Hand-Eye Supplyはポートランドのお店で、地元から世界レベルで、デザインとものづくりのコミュニティを提供しています。そしてインターネットの最も古いサイトの一つCore77のオフィシャルストアです。Space 15 Twentyはレストランや本屋、ギャラリーパフォーマンスなどを含くみ、クリエイティブブランドとのコラボレーションをおこなているユニークなお店です。

充実したポップアップショップに加え、Hand-Eyeは、ワークショップやデモ、上映会、その他を友人やコントリビュータによって実施し街のパブリックとメイカーコミュニティに関わっていきます。ぜひスケジュールをみてください。

Our Pop-Up Institute Manifesto

私たちは創造的プロセスによって価値は強められると信じています。作るという行為自体を重視します。そしてロサンゼルスのダイナミックなメーカーコミュニティに関わり、クリエイティブワークの楽しさを提供することでパブリックに向けてアピールしていく、このユニークな環境を促進していくことを目指しています。「Hand-Eye Supply's Pop-up Institute for Craft and Ingenuity」は私たちの想いの実際的なマニフェストなのです。

生のメーカー魂を見いだし力づける。出来るようになるように手助けしていく。

創造的過程を解明する。私たちの賛同者は様々なフィールドから、愛で、コンセプト、プラン、テクニックを共有するために集まっている。そしてそれらの工芸への初期のアクセスを許可する。

メーカー、クラフトマン、行動家、DIY人はお互いに学び参加することが出来る場所における規律をまとめる。

遊びの場を提供する。間違ったことをせよ。遊び、実験することは権利を手に入れる手段だ。

小さく始め、でも大きく考えろ。手を汚しでも意識は清く、重い描ける間は世を徹してとどまれ、そうでなければそれを壊して明日再びはじめろ。

先人に学び、次の人々に教えろ。しかしもっとも重要なのはわれわれはここに作るために集っているということ。
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by shinichi-log | 2013-09-07 14:32 | Comments(0)
Umaki Campで考えたことメモ
8月もパリの展示の準備に終われ気がつくと9月になってしまったけれど、8月16日に小豆島で行なわれた建築会議のこと。といっても会議の内容そのものではなくて、会議にあたって考えたことを少し記録。

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会議は、大阪を拠点に活動するdot architectsが設計し、施行までをおこなったUMAKI CAMPという建物について60年代から80年代生まれの幅広い世代の建築家が集まって話しをするというもので、世代的な差や活動の幅もありつつも、司会の藤村さんの采配によって非常にエキサイティングなものとなり、大変勉強させていただいた。私自身は家成さんと造形大で半年間授業を担当していたので、毎週末に現場で作業している話しは春から伺っていた。なので、そのプロジェクトの始まりから、地域の人との楽しそうなやり取りを聞くにつけ、この建築がどのようにかの地に存在しているのか、実際にみ、地元の人に話しをきけるのを心待ちにしていた。ただ、まずこのdot architectsをふくむ70年代生まれの関西の建築家の状況について少し考えてみたい。

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by shinichi-log | 2013-09-03 19:21 | Lecture log | Comments(0)



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