攻殻機動隊2.0 と 世界の想像力
先日、大阪に行く機会があったので難波で「攻殻機動隊2.0」を見てきた。

まさか、劇場で見る事が出来るなんてと思ってたので、非常にうれしいリメイク、再上映。押井さんが全く新しいと言ってたので過度に期待してしまっていたので、少々期待はずれという気がしなくも無いが、作品自体のすばらしさは変わるはずもなく。新しくCGで作成された場面は、解像度とか色はすごくきれいなのだけれど、モコモコした姿が違和感を作り出していた。確かに都市の描写とか、電脳空間とかは数段表現力が増していてきれいなんだけど。。。また、物語に関係ない情景が非常に多いことにも改めてきづかされた。中盤の雨のチャイナタウンのシーンなどは全く登場人物がいない。この情景という「心にある感情を起こさせる光景や場面」自体も非常に興味深い対象ではあるけれど、ここから分かるのは、いかに押井作品においては物語よりも世界観や設定が重要であったかということがわかる。最新作のインタビューで今回初めてドラマを作ったと言ってるように、今までの作品(つまり攻殻機動隊もふくめ)は、物語よりもその背後の世界にこそ主眼がおかれているといえる。

もう一つ改めて見直して感じた事の一つに、非常に魅力的な世界観が、実はすごく90年代的なものだったんじゃないかということ。少なくともここ数年の想像力からは距離があるようにおもえた。やはり90年代というのは世紀末で、それに呼応して廃墟やカオス的都市の想像力がぴたっとハマってもいたし、顕著だったのではないか。それは失われていくものに対する喪の感覚であり、新しい都市への適応期間におこる代理反応なのかもしれない。実際中国のイメージもカオス的なチャイナタウンというものよりかは、非常に近代的なインスタントシティーへと移行してしまっている。

では、現在の想像力とはどのようなものなのか?一つはファンタジー的な世界観でもう一つは人工環境的な明るいユートピアというものではないだろうか?

もうすぐ公開の『スカイクロラ』では、退廃的な都市は物語の核にはなってないだろうし、幾分過去のノスタルジックな風景がみいだされる。またゴーストインザシェルの続編『イノセンス』すら享楽的でファンタジー的な要素がその世界観に見いだせる。

また、ユートピア志向としてはアキラのneotokyoとfreedomのエデン(大友さんの世界観かどうかはおいておいて)の比較や、また『アップルシード』のオリュンポスなどがこの特徴を顕著に表しているかもしれない。おそらくこのユートピア的な志向はドバイや北京のような新興国におけるもうれつな都市化を背景に形成されていると思われる。

次いであげるなら、この90年から00年代的な想像力への転換点的な作品をあげるなら宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」なのではないだろうか。この作品では、テーマパークの廃墟から、油屋のもつカオス的な世界をめぐる前半と、海を走りカゲが住む世界を旅する後半に分けられる。前者はまさにダーティーなカオス的な世界の魅力を抱きつつ、一方後者の世界は明らかにファンタジー的な空想の世界である。
アニメの世界観から時代の都市にたいする想像力を読み解く可能性はまだまだ開かれているように感じる。


映画に話を戻すと、もう一つのテーマである「身体」と「心」をめぐる問題は十分今でもアクチュアルなものであり、むしろ現実味が帯びてくるだけリアルに思えるかもしれない。
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by shinichi-log | 2008-07-25 14:43 | review | Comments(3)
Commented by tonoura at 2008-07-26 00:29 x
ぼくも観ました。
グレッグイーガンの小説も身体と心の設定が面白い。
祈りの海が読みやすい。
Commented by shinichi-log at 2008-07-26 01:05
お久しぶりです。
グレッグイーガン知らなかったので読んでみます。

電脳関連で行くと、見た事無いですが電脳コイルというアニメの設定がおもしろしそうです。
Commented by tonoura at 2008-07-28 01:11 x
ぜひ、きっとはまると思うなー
電脳コイルか、うちの近所にあるといいんやけど
いいビデオ屋さんと本屋さんがないとだめやね
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