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ちっぽけな苦痛に耐えられない人々
イギリスのユーロ離脱のニュースに関して。

EUが掲げる「多様性の中の統合」という理念には大きく共感を抱いているが、同時に地域主権の大切さも理解出来る。統合によって、自分たちが生きる上での選択肢が巨大な機構に支配されてしまうことへの違和感。イギリス国民の離脱への意思表示は、この理念そのものの失敗ではなく、進化を続ける共同体において、これまでとは異なる次元の多様性への違和感が生まれた時に起きた「技術的未熟さ」によるものだったと考えたい。これまでの(政治的、社会的、経済的)な統治のための技術では対処しきれない、新しい状況が起こっている。それは、排外主義的な自己中心的な考え方を支持するものではなく、次のステージに上がるための新しい(統治の)技術が、今必要とされている、そんなことの表れではないかと思った。

戦争や巨大な災害といったものからくる苦痛は「運命」「歴史」「超自然的な力」といったどうしようもない存在のせいにしてしまうことで、以外と我慢できる生き物ものなのかもしれない。自分の生を壮大な物語に位置付けることができるから。逆に、日常生活で感じる些細な苦痛に私たちはどうしようもなく我慢できない生き物のようだ。そこに、自分の人生に素晴らしい意味をあたえてくれる物語はなさそうだ。そして、その原因が具体的に身近にいれば尚更なのだろう(実際のところその原因が、彼の個人的なものではなく歴史的背景を持つものだとしても)。ゴミが散らかっている、バスが混んでいる、なんか不安、その原因は近所に引っ越してきたあの人たちのせいに違いない。それが些細で、人生の意味と関わりがないような、そして誰かのせいにできる(それが自分より立場が弱い者であれば尚更)状況であればあるほど。
by shinichi-log | 2016-07-02 18:18 | daily
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