DESIGN EAST CAMP in ARITAへ
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DESIGN EAST CAMP in ARITAに参加するため、関空から福岡、さらにひょんなことから目的地を通り越し長崎の佐世保を経由して(これはまた別のお話で)、今回の目的地やきものの町「有田」へ。メインプログラムは有田町の上有田地区を中心に5つのチーム「A」「R」「I」「T」「a」にわかれて行われるフィールドワークと、その後のディスカッションとなっておりコンパクトながら密度の高いCAMPとなった。

フィールドワークの起点となったのは、磁器の原料となる石を採掘していた「石場(泉山磁石場)」(現在砕石は止まっているが、将来的には再稼働する可能性もあり、一部を除いて史跡としての指定を受けていない)。そこで有田焼の発展の歴史を伺う。有田は400年前に朝鮮からつれてこられた陶工李参平という人物が、それまで日本では発見されていなかった磁器の原料を発見したところから始まる。有田はまさに日本の磁器誕生の地だ。江戸時代は佐賀藩鍋島家によって保護され、国内外との交易品として重宝され発展していったという。この石場を起点に、深い谷に沿って集落が形成されており、石場に近い上のエリアが内山地区と呼ばれ「有田千軒」と呼ばれる街並や、登り窯の壁や、窯道具の廃材を利用した「どんばい塀」が残り伝建地区にも指定されている。GWに開かれる陶器市には100万人が押し掛ける一大イベントになっている。そのような歴史的な資源が残っている一方で、現代的な暮らしにはなじまず、駐車場が無いなどの理由で若い世代は有田駅に近い西有田地区に家を持つ傾向が強く地区は高齢化がすすみ、空家がちらほらと目にはいってくる。また、これまでは主に卸を行ってきた問屋も、最盛期の六分の一しか売上げがないという現実に直面し、観光客への小売りを行うようになってきている。などの理由から内山地区では観光という観点からの街づくりが目指されている。そう感じた。今回のDEのフィールドワークや議論の前提にはこうした観光地としての魅力をどう見いだすかという事があったようだが、その実ほんとうに観光地化することが必要なのかという事も含めた議論が生まれていたように思われる。

先に有田はやきものの町と書いたが、それが意味するところについては再考する必要があると感じた。つまり産業としての「やきもの」というモノが主役になるのではなく、「やきもの」という産業によって形成された暮らしそのものが主役になる必要があるのではないだろうか。やきものを商品ではなく文化として捉える視点がまちづくりという上で欠かせないものになっている。それはデザインという方法でもってこの町に介入する時の作法がいかにあるべきかを問うことにも繋がっている。

そうすると実は観光のためにせっせとハコやコトをつくるよりも、産業としてのやきものを持続的に成り立たせる仕組みと暮らしをつくっていくことが結果的にまちの魅力に繋がっていく。順序としては、産業としての有田焼がより魅力を増し持続的な展望をえることによって、結果街の人がより豊かな生活を送るようになり、その生活の豊かさや文化に触れるために観光を目的とした人々が訪れる、ということだろう。

ここでデザイナーの役割は、産業をもり立てる役割(柳原さんが関わっている1616というのはまさにこっち)と同時に、それが持続的に続いていくための豊かさまでを描き出し、その実現をアシストするような役割になる。これまでデザイナーは主に産業(建設なども含む)というフレームの中でのみその役割を与えられていたわけだが、現在ではそれがシフトし、まちづくりや福祉、教育などといった異なるフレームを跨ぎつつ、その場所の文化を温めなおすような存在になりつつある。

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表通り
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裏通り

また今回のワークショップでは、観光用に整備された表通りよりも、暮らしの痕跡が色濃く残る裏通りや、人々が日常的に接している「ハマ」といった存在へ関心があつまっていたが、それは単に産業と観光、コンテンツとコンテナ(器)といった問いの建て方ではなく、町の持つ空間認識の構造を読み替えるという視点に繋がったことが大変興味深かった。つまりこれまでの谷に沿った町のリニアな構造が重視されてきたが、谷につくられているという地形的特性を生かし、断面方向の空間を意識することで、振り子のような運動を生み出すことが町のポテンシャルを再定義していくのではないかという点だ。空間認識の更新という建築的な眼差しの可能性を実感として感じる機会になった。
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by shinichi-log | 2014-09-24 13:25 | daily | Comments(0)
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