展覧会忘備録
東京都現代美術館でフランシス・アリス展の第2期と、収蔵品展2つをみる。フランシス・アリスはまさに寓意の力によって矛盾にみちた世界を再創造する。アートの素晴らしさをストレートに伝えてくれる。最初に展示してある消えかかった中央分離帯を塗り直す映像作品と、子どもの遊びを記録した映像作品も見逃せない。一方2部に分かれた収蔵品展でも最初に出会う神原秦の「マリアとキリスト」と最後の牧野虎雄の「少女」に非常に心ひかれた。前者は大正期とは思えないような抽象と具象のぎりぎりの境界で表現を成立させている作品で、後者は写実的な表現のなかに黒人(?)の少女の絶妙な表情が印象的。展示も全体的に見応えがあり、会田誠の作品があると思えば、チンポムのアイムボカンのインパクトにやられ、デマンドやホンマタカシの写真などもみることができる。個人的には最後の部屋の自画像がぎっしりと展示されている部屋がとてもよかった。

一方近代美術館は小企画の「都市の無意識」展を目当てに行ったのだが、企画展の「プレイバック・アーティスト・トーク」もよかった。前者は都市を幾重にもおりかさなった層としてとらえ、それらを地下やスカイライン、イメージの重なりとして抽出している。地層というのがそれまでの循環する時間性にたいして、不可逆的な一方向にながれる時間というものの存在を明らかにしたという趣旨のテキストや、スカイラインが輪郭を失った都市に置いて唯一境界ともいえるといった分析やとてもおもしろかった。またこれまでの美術館でおこなわれた作家のトーク映像と作品を同時に展示する企画展は、児玉靖枝や丸山直文など個人的に好きな作家も多く、また全体的に見ても秀作の多い展示でおもしろかった。また作家の解説と一緒にみれることで理解も深まり、新たな発見も生まれる。こうした記録映像はたいていそのまま眠っている事が多いので、メディア環境の変化にあわせてどんどん公開していくと、普及という点でも効果があるのではないだろうかと思わさせられる。こちらも展示の最後に飾ってあった岡村桂三郎さんの「黄象」という作品が非常にすばらしく、思わず見入ってしまった。大胆な構図と独特の質感。そして象のなんとも神秘的で穏やかな表情。よいものを見せてもらった感じがした。
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by shinichi-log | 2013-07-15 04:16 | daily | Comments(0)
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