左官と大工。これまでなんとなく大きく大工というのがあって、その中に左官という仕事があるというふうに考えていた。けれど今日左官職人さんと一緒にたたきを作っていく中で、料理でもコックとパティシエが違うように、理科に物理と化学があるように、これは全く別ものだった。
大工というのは基本木材を寸法に合わせて加工し、論理的に組み合わせていく。非常に構築的な思考の上で成り立っているといってよい。一方左官は、土を身体で感じ取りながらいい加減をさぐり壁や床を作っていく。そこで必要とされる知識や技術も大工がいかに力を受けるか、接合するか、組み立てるかといったものである一方、左官は素材同士の化学的な変化を感じ取り、ものの性質を自在に操っていく。また、一方が刻んでいくのにたいし、もう一方が様々な砂や材料を混ぜあわせることが主となるなど、興味深い対称性を有している。 そして一般的に建物を作る時は大工の棟梁がトップだが、蔵の場合は左官の棟梁がトップにたつ。京都にはこの2つに加えて庭師がいて、これは茶室の場合にトップに立つ。茶室は建築である以上に庭と一体となった、むしろ庭の一部であるということなのだろう。そして蔵は、内部の品物を守るために、呼吸をし、湿気を調整するなど常に物質的な変化を行っている。 というような左官だが、近年では実際の土を使って作業している職人は1%にもみたない。また、京都に限っての話しではあるが土を取る事の出来る場所が法律で規制されるようになりかなり厳しい状況が続いているという。 今回のワークショップでは、よい棟梁に恵まれみな非常に楽しく作業を実施する事が出来た。 現場を掘り返した土と石灰、そしてなめる事も出来るにがりの水を混ぜ合わせるだけというシンプルさながら、にがりは速乾的に、そして石灰は化学変化をおこしつつ長い時間かけて硬化していくというふうに実に良くできている。このたたきの最古の遺構は400年前のものらしくまだ使われているというから驚きだ。100年保つと謳う新商品と事実400年保ってきたものとではどう考えても信用力が違うと思うのだが、それでも科学的なデータが実証する(実際試してるわけではないけど)ほうを選んでしまうのだろうか?
by shinichi-log
| 2013-03-23 22:56
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