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オクパについて考えたいこと
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明日(といっても今日になってしまったが)行なう予定にしているopenlab.12のテーマは「オクパ」という事になっている。この聞き慣れない言葉は、スペインかポルトガルで若者たちが建物の占拠を行なう際に掲げられる事罵で、「占拠」を意味するオキュペーションを意味している。
そもそもなぜオクパというのがテーマになったかというと、8月の初旬にLABORATORYにて開催されたSTORELAB.(若手のデザイナーに期間限定で実験的な‘お店’を運営してもらうプロジェクト)という試みでのタイトルがOKUPAだったという経緯があり、そのテーマをまさしくOKUPAしてしまえば面白いのではないかという所から始まっている。そもそもLABORATORYという試み自体がある種のOKUPA的なるものに仮託されていると言えなくも無いのだが。

ここで「占拠」と言っても単純にスクウォッティングのような反社会的な行為をある種「かっこいい」ものとして取り上げたいとかいうのではない(ともすると日本での紹介のされ方は非常にファッショナブルなものとして、その社会的なメッセージや批評性もろともパッケージされてしまう事が多い)。もちろん後半のプレゼンテーションの中にはスクォッティングについての報告もあるが、そこでも単なる事例報告や魅力の共有ではなく、スクォッティングから見えてくる住まい方の問題や都市の作り方、開発のオルタナティブとして考えていくこともできるだろうし、もっと僕らの日常の中へと落とし込んでいく可能性を探りたいと思っている。そして「オクパ」なるものをもう少し広い意味で考えてみる事で、都市の中で場所を生み出すことについての新しい切り口を与えることになるのではないかと期待している。

拡張された「OKUPA」という概念は、ある場所を一時的に変化させ自分のものにしてしまうという行為を包摂するようになる。それはイベントのような短期間のものからリノベーションというような長期間に及ぶものまで。
そのような「占拠」のありようの魅力は、行為主体の不安定な、もしくは客体的なあり方にあるように思われる。現代のように商品化された住宅や、工学的に人間を扱うSCにおける建物(空間)と人の関係性とはことなり、まず建物はそれ自体として存在しており人はその存在に対して従属的に居場所を見つけ出すしかないという建物と人の関係。「占拠」という行為は、この関係を最もラディカルな形で体現していると言える。この従属的な人間の位置づけは、おそらく何世代も引き継がれて来た農家(家は人の存在を越えた存在としてひとびとの日常の中に入り込む)や、リノベーションにおいて既存の空間にどのように生活を適応させていくのかというアプローチとして現れていると思われる。ヨーロッパのように建物の寿命が長く、リノベーションが主体の地域でスクォッティングが盛んなことは関係あるのだろうか?
また、「OKUPA」を占有という風に若干柔らかく受け取ると、そもそも建築という試みが現代の都市という多層的な共同体にあっては、ある一定の個人や主体による空間的時間的占拠であると考えることもできなくはない。特に、京都のような街全体が文化遺産として考えられている(実際はどうであれ)地域においては、ある個人が特定の趣味による建物を建てることの暴力性がよく表れる。では、建築家はどのようなことを念頭にこの「占拠」を行なうことが出来るのか。このあたりは京都で活動している建築家のお二人と議論したいと思っている。

さて、openlab.12「OKUPA」は、21日17時から。
http:/radlab.info
by shinichi-log | 2010-08-21 03:03
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